子どもの音読がガラッと変わる、上手な聞き方とは?

小学校の宿題って、必ずと言っていいほど音読の宿題が出てきますよね。

低学年の頃なら、お話が短いからまだ良いのですが、学年が上がるにつれてだんだん読む量も増えてくるので、それを聞く親の拘束時間も比例して増加していきます。

ただでさえ仕事やら家事やらで忙しい身。正直言って面倒だと思っている方もたくさんいることでしょう。もしかしたら、この記事を読んでいる今日も、台所で料理をしている間に音読をさせていたかもしれませんね。

それでも、僕はあえて断言します。

お子さんのためにも音読はしっかり聞いてあげるべきだと。

子どもに音読をさせる理由

すべての先生がこれをわかっているかどうかは怪しいですが、ほぼ毎日音読をさせるのにはれっきとしたした根拠があります。

あなたもこの理由を知るのと知らないのでは、お子さんの音読を聞く姿勢にも大きな差が出ることでしょう。

脳が活性化する

まず、人は黙読より音読をした方が脳が活性化すると言われています。

音読をしている間、脳の前頭前野というところが働いています。この部分は、判断力や思考力を司る、脳の司令塔とも言われている部分で、脳の中でもかなり重要な役割を担っています。

黙読のときは、主に視覚のみを使っていますが、音読は視覚に加えて聴覚にも働きかけながら文を読みます。複数の感覚器官を刺激しながら読むことで脳が活性化し、話の内容理解が早くなるのです。

記憶が定着する

前頭前野は、記憶にも関わる部分と言われています。ですから、ここを刺激し、活性化すればどうなるのかは、もうお分かりですね?

「書いて覚えたって良いじゃん」という考えもあると思いますが、子どもは幼ければ幼いほど、目より耳からの情報の方が記憶に残りやすい傾向にあります。

歌詞がなくてもすぐに歌を覚えてしまうのはその典型例です。ですから、子どものうちはなおさら文字を音声に表し、耳から取り込ませることが大切だと言えます。

子どもが賢くなる音読の聞き方

しかし、だからといってやみくもに読ませても意味がありません。音読の技術も記憶力も向上しませんし、何度も読ませるのは子どもも親も互いに苦痛です。

やらなくてはならない宿題なのですから、どうせならただ淡々とさせるのではなく、お子さんの力が伸びるような音読をさせてあげたいですよね。そこで、以下のような聞き方をおすすめします。

文節で区切って読ませる

例えば、以下のような文を読ませるとします。

 ある日、おそろしい まぐろが、おなかを すかせて、すごい はやさで ミサイルみたいに つっこんで きた。
一口で、まぐろは 小さな 赤い 魚たちを、いっぴき のこらず のみこんだ。
にげたのは スイミーだけ。

有名な「スイミー」のお話です。みなさんなら、これをどう読ませるでしょうか。

よく、「おそろ」「しい」というように、単語の途中でつっかえながら読む子がいます。不自然ななところで区切ってしまうことで、「おそろしい」が「恐ろしい」という言葉として子どもの頭の中で認識されません。このようにたどたどしく音読をする子は、往々にして話の内容の理解が苦手です。

じゃあどう読ませれば良いかはもうおわかりですね。

そう、文節で区切って読ませるのです。

小学校1、2年生の国語の教科書は、よく見ると文節同士に間隔が空けられています。これを目安に区切って読ませると良いでしょう。そうすることで、子どもの中に文字が言葉として入り、お話が理解しやすくなります。

文節で区切って読むことになったら、「おそろしいまぐろが」というように、係る言葉をつなげて読ませるとなお良いです。

ここで注意したいのは、単語で区切らないようにすること。例えば、「ミサイル」「みたいに」って区切ってしまうと、「みたいに」が指すものが分離してわからなくなってしまいます。

はっきり、ゆっくり読ませる

先ほど述べたとおり、子どもは記憶を聴覚に頼っていますので、耳に入ってくる音の質というのは極めて重要ですもごもごした声で読んでも、大した効果は期待できないでしょう。そういう意味で明瞭な声で音読をすることは大事です。

小さな声だったり、口を動かして読んでいなかったりするときに叱るのは逆効果です。「お母さんにも聞こえるように読んでくれる?」などと、「わたしにお話を聞かせて欲しい」というスタンスの言葉がけをするとGOODです。

子どもの側で聞いてあげる

親であるみなさんがお忙しいのは百も承知ですが、やはりこれは大事なこと。

なぜなら、子どもに背中を向けて聞いていると、子どもの読み間違いに気づけないからです。

子どもって、わたしたちが思っているよりも誤読を頻発させます。問題なのは、子ども本人が自分が読み間違えたことに気づいていないことです。

子どもの側で一緒に教科書を見ながら聞いてあげれば、子どもの間違いに気づいてあげられますよね。子どもも、「間違えたらいけない」という緊張感を持って集中して読むようになるから、理解が一層進んで一石二鳥です。

もし、何度もつっかえたり読み間違えたりしてしまうようであれば、その部分を大人の後に続いて読ませたり、読んでいるところを指で差してあげたりすると良いでしょう。

「ちゃんと聞いているよ」というメッセージが大切

いかがでしたか。

いずれにせよ、音読はただ聞いてあげるだけでは上達しません。毎日このように聞くのは難しいかもしれませんが、塵も積もれば山となります。継続して行くことが大切です。

そうすれば、お子さんにも「ちゃんとあなたの音読を聞いているよ」という気持ちが伝わるはずです。そのメッセージが、お子さんが音読を頑張るための、何よりの原動力になるでしょう。