学力に影響大⁉︎子どもが字を丁寧に書くようになる4つの方法。
わたしたちは、その人その人で書く字の形が異なります。
よほどのプロでない限り、お手本を視写したとしても、どうしても微妙な違いは生じてしまうもの。それくらい、人の字というのは個性的です。
さて、わたしたち人間の生活とは切って離すことができない、字を「書く」という動作。
あれだけ「字を丁寧に書きなさい!」と言われた子ども時代と比べ、大人になって書く量も桁違いになった今、「社会で生きていくのに、字の綺麗さなんてそんなに重要じゃない」と思っている方も多いことでしょう。
しかし、どのように字を書くかで、子どもの学力に大きな差が出るとしたら、それでもあなたはお子さんに同じことを言いますか?
今回は、子どもの学力に直結する字を綺麗に書ける方法をお伝えしたいと思います。
丁寧に字を書くことは、学力向上につながる?
字を丁寧に書くことと学力との関係については、様々な議論が交わされていますが、いくつかの研究からは、「字を丁寧に書く子どもは、学力が伸びる傾向である」ことが報告されています。
例えば、フロリダ国際大学のローラ・ダインハート准教授は、理由として
「字がうまい子の提出物は、教師にとって読みやすいからいい点数をもらいやすい」「まだ字がうまく書けない子は、文字をきちんと書くことに意識が集中してしまい、自分が書く内容に注意が向かない」
と述べています。いい点数をもらいやすいことが学力向上につながるかというのは疑問ですが、後者の理由には十分頷けます。
つまり、字が丁寧に書ける状態がデフォルトになれば、書いていることの内容に意識を向けるなど、思考の余裕が生まれるということですよね。
書くことは脳を刺激し、活性化させる
ダインハート氏は、低所得層の子どもの子どもを調べた結果、
幼稚園に入る前の段階で文字を書くような細かい手作業ができる子は、就学後の成績がいい
ということがわかったそうです。
字を書くという動作は、単に手先の運動だけの話に留まりません。
文字を文字として認識する能力や書きたい文字をイメージする視覚的な能力、脳と運動器官をつなぐ神経などが連携して成せる、かなり高度で複雑な技なのです。
様々な部分や領域を刺激させる、書く動作を繰り返すことによって脳が活性化し、理解力や反応力が高まっていきます。
一部の天才は逆にまったく読むことのできない字を書くという指摘もありますが、字を丁寧に書く習慣と学力の関係は、たくさんの子どもに当てはまる事実と言えるでしょう。
「手書き」が上手い子は、学力も伸びやすい文字を書くことで能が活性化する
読めない字は、理解を妨げる
医学的な話をしてしまいましたが、字を丁寧に書く必要がある一般的な理由もあります。
単純に、字が雑だと自分で自分が書いた文字がわからない、または読み誤ることがあるからです。
よく、「0」の数字を、くるっと1周できずに「6」のように書く子がいます。これで筆算などをして、初めは0のつもりで書いたものの、計算の途中で本人の中での認識が6に変わってしまい、答えを間違えてしまうなんてことは、学校あるあるです。
また、作文など文章を書く活動で見直しや推敲をしようとしたとき、「なんて書いてあるんだこれ?」となって、自分で書いた話の内容がわからなくなるなんてこともしばしば。
読めない字を書くというのは、結局書いた本人の理解を妨害してしまうのです。
子どもが字を丁寧に書くようになる、4つの方法
字形が学力に与える影響の大きさについて、わかってもらえたでしょうか。
ここからは、具体的に子どもが丁寧な字を書くにはどうしたら良いか、その方法を紹介していきます。
字を書き始めたときの指導の仕方で決まる
まず、始めに知っていてほしいのが、字の書き方というのは大きくなってからは矯正が難しいということ。わたしたち大人だってそうですよね。人それぞれで書き癖というのがどうしてもついてしまいます。
ですから、お子さんが鉛筆を持って初めて字を書き始めた頃の指導が、その後の字の形を決定づけるといっても過言ではありません。
かなり根気の要ることですが、この先10年以上続く学生期を見据えて踏ん張りましょう。
1.ゆっくり書く
字を書く速さに気をつけることは、基本中の基本です。これができない限り、一生字は上手くならないと思っても良いくらいです。
字が上手に書けない子の大概は、字を書くスピードがとても速いのです。中には居合い斬りをしているかのごとき速さでシャッシャッと書く子もいます。
この何が問題かというのは、車に例えるとわかりやすいです。つまり、字を速く書くこというのは、速度超過運転をしているので、ハンドル(=鉛筆)の制御が利かないのです。
このような子たちは、特に「とめ」「はね」「折れ」と行った、一度止まるという書き方が苦手です。また、「あ」「わ」などのように大きく回るような筆運びもできない子も多いです。
ですから、書き始めの時期はとにかくゆっくり字をなぞらせましょう。「これはイライラ棒だから、はみ出たらビリビリだよ!」と、ゲーム感覚でやってみると、おもしろいかも。
…もしかして、イライラ棒って古い?
2.濃く書く
1ができれば、自然とこれもできることが多いですが、最近の子どもは、筆圧の弱い子が多い傾向にあります。
字を書くときは、自分の書いた字がはっきり見える濃さの字で書かせましょう。
ただでさえ、幼児期 や小学校低学年の子は手の力が弱いので字が薄くなりがちです。HBではなく、2BやBの比較的芯が柔らかい鉛筆で書くことを強くお勧めします。
それでも字が薄くなる子は、4B、場合によっては6Bを使わせるのもありです。だんだん筆圧が強くなって字が濃くなってきたら、段階的に変えてあげましょう。
3.下敷きを使う
案外意識されないのがこれ。僕は下敷きこそ、字を丁寧に書くための影の救世主だと思います。
字を書くときの基本として、平らで安定したところで書くことが重要です。しかし、ノートは重なっている紙のふくらみがあって、妙に安定しませんし、鉛筆で書いたページの裏がその圧力ででこぼこになって要ることもあります。
下敷きを使うことによって、この不安定問題がすぐに解消されるのです。字が上手い子は、だいたい常に下敷きを使用しています。
おすすめの下敷きは、丸めることができるソフトタイプ。鉛筆の圧力を程よく吸収し、芯が滑るのを防いでくれます。また、手が疲れにくいメリットもあります。
このタイプの下敷きは、入学用品セットに含む小学校が多いので、それを卒業まで大事に使わせ続けましょう。
4.自分の字が、人をどんな気持ちにさせるのかを教える
「字は人を表す」とよく言われます。字形は、その人の性格や感情を如実に表すのです。
あなたも、大切な人への手紙はきっと一字一字心を込めて書くでしょうし、イラついているときはいつもより字が乱雑になることでしょう。
このように、字というのは時に文字だけでその人に対する感情も乗せて伝えることがあります。これを利用するのです。
例えば、お子さんがいつもより丁寧に字を書いていれば、
「紙を大切にしてくれているのが伝わって嬉しいよ。」とか、
「〇〇の字を見ると、ママの心もポカポカしてくるわ。」と、
丁寧な字を書くことが人を喜ばせるのだと理解させるのです。
逆に雑な字を書いたのであれば、
「この字を見ると、パパの心がシクシク痛むなあ」と伝えるのです。
このようにして、自分の字を見る人の気持ちを考えて字を書く習慣を身につけさせると、相手を思いやる心も育てられて一石二鳥です。
鉛筆の持ち方は、そこまで気にしなくてもOK
さて、字を丁寧に書かせるにあたって気になるのが、鉛筆の持ち方。
日本筆記具工業会によれば、こちらが正しい鉛筆の持ち方らしいですが、結論から言えば正しい持ち方ができなくても、丁寧な字は書けます。
僕もこのように残念な持ち方ですが、これでも小中時代は硬筆コンクールの学年代表に選ばれていました。
正しく持てることに越したことはないですが、必ずそうでなければならないとは言えません。綺麗に書くことができるなら、本人が書きやすい持ち方で書かせるのが一番だと思います。
しかし、小学校入りたてのころは、持ち方についてうるさく言われるので、先に正しい持ち方を会得させていれば、先生に褒めてもらえたことをきっかけに、字を書くことが好きになることにつながるかもしれません。
正しい持ち方を身につけるための補助グリップはいろいろなものがありますが、補助グリップ以外に、三角形の形をした鉛筆(通称:おにぎり鉛筆)もおすすめです。
最後に一つだけ。
このように握って書くのだけはやめさせましょう。手首を動かすことができないので、丁寧に字を書くのはムリゲーです。
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