2020年度まであと少し。小学校の外国語教育、何が変わるのかをわかりやすく解説!

2019年1月29日

現在の大学センター入試が、2019年度を最後に廃止され、2020年度から代わりに大学入学共通テストが導入されることは、みなさんもご存知だと思います。

この変更に伴い、共通テストにおける外国語(英語)の試験形態も大きく変わり、「読む」「聞く」「話す」「書く」の4技能を測るそうです。読む・聞く・書くはともかく、「話す」というパフォーマンス評価もされるというのは驚きです。

こう変わる!大学入試 ~2020年度からセンター試験に代わる試験を実施~

このように、これからの外国語教育は大きな転換期を迎えようとしています。小学校も例に漏れず、実は移行措置という、次期学習指導要領に基づいた授業が行われ始めています。

さて、これからの小学校での外国語教育は、いったい何がどのように変わるのでしょうか。急速にグローバル化が進む現代社会を生きる子どもたちのためにも、先生だけでなく、保護者のみなさんやこれから先生になる人など、たくさんの方に知ってもらいたいです。

「外国語科」新設

今まで外国語「活動」が行われてきた5・6年生を対象に、外国語科というのが新設されます。

これは、外国語が教科として位置付けられたことを意味します。どういうことかといいますと、今までみたいに歌やゲームなどを通して英語を楽しむだけに留まらず、英語ができなければならなくなったのです。

教科化によって指導内容にも大きなメスが入れられました。今までは「話す」「聞く」が中心の、いわゆ音声を介した活動が中心でしたが、新たに「書くこと」「読むこと」も加わったのです。

教科になったからには、国語や算数などと同様に、成績がつけられます。移行措置期間である今は、まだ「外国語活動」として施行されているので文章による記述の学校がほとんどですが、教科化したら「◎○△」とか「よくできる・できる・がんばろう」などの段階評価で能力を示す予定です。

外国語「活動」は3・4年生に前倒し

今まで行われきた外国語活動は、3・4年生で行われるようになります。

外国語活動は、外国語を通してコミュニケーションの素地を養うことが目標。つまり、「外国語に慣れること」「外国語を話してみたいなあと思うこと」が目標ですので、この時点では英語の技能が身についたかどうかは評価しません。

時数増えるよ

さて、新しい内容が追加されるということは、授業の時数も必然的に増えるということです。

移行措置期間である平成30年度、31年度の間は、3・4年生が年間15時間、5・6年生が年間50時間の実施が標準時数となっています。高学年の今までの標準時数が年間35時間だったので、どの学年でも純粋に15時間増加されています。

この2年間は、増加した15時間を総合的な学習の時間から充てることができるので、実質的な時間割の増加はありませんが、問題は移行措置期間が終わった32年度以降です。

3・4年生→年間35時間
5・6年生→年間70時間

なんということでしょう。さらに20時間分増えます。

増えた時数は、どのように確保するのでしょうか。それは各学校や教育委員会に委ねられていますが、考えられるのは以下のような対策です。

  • 朝学習や〇〇タイムといった学校独自の補強時間、放課後などを活用して、15分×3のような短時間学習を行う(モジュール学習)
  • 純粋に週の時間割を増やす

週の時間割が増えることは、子ども達にとっては死刑宣告に等しいでしょう。でも、モジュール学習の形態をとったところで、学習のために拘束されるのですから、学校でのびのびと過ごす時間がますます減ってしまいます。

さらに国の教育方針を決定づけるのに大きな影響をもつ中央教育審議会の答申では「夏季、冬季の長期休業期間において対話的な活動を行うことも考えられる」と述べています。要は夏休みや冬休みにやることも必要かもよって話です。ちょっと何言ってるかマジでわかんない。

「正しい英語が使えること」が目標ではない

ここまで読んで、そこまでしてなぜ、英語ができるようにならなきゃならないのかと思った方もいらっしゃるでしょう。

これらの改訂の背景には、今までの外国語活動で培ったことが、うまく中学校へ接続されていなかったことが挙げられます。

「読み書き」が入ってきて嫌いになる英語

外国語活動で、主に会話による活動で英語に慣れ親しんだ子どもたちは、英語を学ぶことに対して比較的好意的です。

しかし、中学校に入るといきなりアルファベットや膨大な量の英単語を覚え、書かなければならなくなります。これが中学生の英語に対する意欲を削ぐ大きな要因となっているのです。

そこで、小学校のうちから英語を読んだり書いたりすることにも慣れさせておこうというのが、今回の改訂のねらいの一つと言われています。

しかも、今後の中学校の英語の授業はAll English、つまり基本的に授業はすべて英語によって行われるようになります。それを考えると、もう英語を中学校から始めるのは遅いわけですね。

小さい頃ほど進んで英語に親しめる

子どもは、年齢が低いほど言語に対する抵抗が小さい傾向にあると言われています。

確かに、大人がネイティブの発音を真似ようとするとちょっと小っ恥ずかしいですが、子どもはそんなことお構いなしに見よう見まねでネイティブの言い方をしようとします。

また、自分たちが聞き取れる言葉を手がかりに必死に推測しようともするので、そういう意味では、3年生4年生から英語に慣れ親しませ、新しい言語を学ぶことに対する抵抗をなくすことは、決して悪くはないです。

単なる中学校の前倒しではない

しかし、中学校の内容がそのまま小学校へ降りてくるわけではありません。小学校の外国語教育は、基本的にコミュニケーション力の育成をベースにして進められていきます。

(2) コミュニケーションを行う目的や場面,状況などに応じて,身近で簡単な事柄について,聞いたり話したりするとともに,音声で十分に慣れ親しんだ外国語の語彙や基本的な表現を推測しながら読んだり,語順を意識しながら書いたりして,自分の考えや気持ちなどを伝え合うことができる基礎的な力を養う。

例えば、外国語科で読み書きが入ってくると言っても、自分や友達のことを字で伝えるためという目標で文字を学んでいくので、中学校のように英単語を赤シートで暗記するとか、英文法の型に当てはめて解答するとか、そういう機械的な学習をすることはありません(活用するために練習することはあり得ますが)。

コミュニケーションで大切なのは、互いの考えや気持ちなどを伝え合うこと。だから、文法が少し間違っていようが、ニュアンスがちょっと違う言葉を選ぼうが、相手に自分の考えが伝わり、理解されれば良いのです。小学校の外国語教育は、一貫して、この「相手に伝える姿勢」を育成していくことが目標の中心に置かれています。

「実生活で使える」英語が重視されていく

英語はあくまで言語の一つであり、言語はコミュニケーションを図る手段でしかありません。

文科省が目指したのは、単に大学入試のためだけに使うだけ英語から、コミュニケーションを図るために使う、より実用的な英語へ転換することなのかもしれません。

では、コミュニケーションを図るとき、わたしたちは主に何を介して図るのか。それは会話です。大学入試を始めとして、話すことが重視されているのはそのためではないでしょうか。

でも、外国語で話すというのは一朝一夕でできることではありませんし、普段から英語を話す機会に恵まれていないと、英会話力を向上させるのは難しいです。そのような環境を、わたしたち大人が用意してあげることが、これからの時代では必要になることでしょう。

仕事で子どもを英会話教室に連れていくのが難しいというご家庭には、自宅で気軽に英会話レッスンが受けられるオンライン英会話教室がおすすめです。なんとチャレンジで有名なベネッセでも取り扱っていますよ。

子ども向けの英会話教室は、楽しみながら英語が話せるようになるのが大きなメリット。世界と繋がるのが不可欠なこれからの時代を生きていくお子さんのために、一度検討してみるのはいかがでしょうか。