あなたのお子さんは大丈夫?「いつもニコニコ」は感情コントロールがうまく機能していないサインかも⁉︎

いつもニコニコしている子どもは、とてもかわいらしいですよね。

大人も「いつも笑顔でいいね!」「ニコニコしていてお利口だね!」と褒めるので、子どもの中は

笑顔=良いこと=ほめてもらえる

という関係式が自然と生まれ、笑顔でいようと努めます。まぁ、そもそも子どもは5歳児であれば1日400〜500回は笑うらしいですが…。

ただ、いつどんなときもニコニコしているのなら、それは要注意です。その子、笑顔の裏では泣いているかもしれませんよ?

笑うことでしか感情表現できない

例えば、親や先生に叱られたとき、ヘラヘラした表情のままの子っていませんか?

意図的にナメた態度をとっている胸糞悪い場合もありますが、あれは笑うこと以外に感情を表現できない場合もあります。

喜怒哀楽それぞれの感情に対して、落ち込んだり怒ったりといった適切な表情を作ることができないのです。

別に相手をバカにしているわけではないのですが、自分の気持ちを表明する手段が「笑う」一択しかない以上、相手を怒らせてしまうのは必定。

笑顔をやめられない自分と、それを見てどんどん怒る相手との間に、コミュニケーションが成り立つはずがなく、「あいつはまったく反省していない」なんて思われ、残念な結果につながりかねません。

笑うタイミングを誤学習している

別のパターンを挙げてみましょう。

友達から何を言われようがからかわれようがいつもニコニコしている子がいます。「〇〇はいつも怒んないから優しいね〜」と、周りからはその笑顔から「優しい」というプラスイメージを持たれています。

これが続くと、

からかわれる→笑う

という反射が強化され、笑顔以外のアクションをとれなくなっていくのです。

特に、自閉症スペクトラムの子は誤ったコミュニケーション方法を一度学習してしまうと、これを修正するのはかなり難しく、専門的な支援が必要になる場合もあります。

自己防衛

大人の世界でも、人の世を上手く渡り歩くために

「笑ってやり過ごす」

ことってよくありますよね。人からの非難や叱責などといった苦痛から逃れるためにする、あれです。

これは、周りについていけない子がよく取る方法です。自分の意見を言わず、ニコニコさえしていれば集団の中では無害でいられるし、咎められることもない。

楽しいとか楽しくないとか、自分の感情とは無関係に、自身を守るための防衛行動として笑うという行動を選択しているに過ぎないのです。

大人の接し方から変えていこう

さて、このように自分の感情を上手く表現できない子は、どうしたらできるようになるでしょうか。

発達障害が絡んでくると話は難しくなりますが、子どもの人格形成というのは、子ども本人を取り巻く環境の影響を大きく受けるので、私たち大人の接し方を工夫すると良いでしょう。

大人が表情の手本を見せる

まず、大人がどういう気持ちのときにどういう表情をとれば良いのか、その手本となりましょう。

嬉しいときには笑い、悲しいことがあったら悲しい顔をする。嫌なことをされたら怒った表情を意識して作る。

顔だけでなく、「ママは今、〇〇と遊んでいるのが楽しくて笑っているんだよ」と、言葉にして伝えてあげることも大切です。

子どもが一日300回以上笑うのに対して、大人はなんと平均15回しか笑わないらしいですよ。普段から笑顔を作る心がけをしていきたいものですね。

気持ちを外言化する

笑顔しかできない子は、自分が抱いている感情を言葉に出すのも苦手なことが多いです。

ですから、普段から「どんな気持ち?」と聞いて、内に秘めている今の気持ち(内言)を声に出させましょう(外言)。

そのためには、子どもが思ったことを安心して話せる環境づくりが必要です。

機嫌が悪いとすぐに態度に出てしまう方は十分注意してください。子どもは我々が思っている以上に親のことを観察し、気を遣っています。

僕の母親も、すぐに機嫌を損ねる人で、そのようなときは努めて笑顔を作りながら進んでお手伝いをしていたものでした。

子どもは親には嫌われたくないので、親が喜ぶような行動を必死にとって機嫌を取ります。そのような親の下では、「自分の思いを露わにしたら嫌われるかも…」と怯え、ニコニコした自分を「演出」するしかないのです。

笑うことは確かに大事ですが、子どもの気持ちと結びつかない「ニセモノの笑顔」を強いていないか、ときどき気をつけながらお子さんのことを見てみましょう。