親の教育スタイルを、通信簿から読み取る。

みなさん地域によって夏休みや冬休みの期間が異なることはご存知ですか?

例えば、東北地方などの寒冷な地域は比較的涼しい夏休みは短く、その分冬休みが長くなっているところが多いです。ですから、1月の7日や8日あたりに流れる3学期が始まりましたなんてニュースを、こたつでゴロゴロしながら観ている子どももいるわけですね。

さてさて、学期空けの初日、始業式と並ぶビッグイベント、「提出物の回収」。宿題を始め、保険関係の書類や雑巾など、担任の先生は数多の提出物の回収・点検に疲弊する1日となったことでしょう。

その提出物の中に含まれる通信簿(通知表)。近年は欄が削除されている学校も増えているようですが、大体の小学校では保護者のコメント欄が用意されています。家庭によって枠が窮屈なくらいびっしり書いてきたり、たったの一言だったりと書かれる内容もまさに十人十色。

今回は、この記述の内容から、その保護者が教育・子育てに対してどのような考え方をしているのかを、3つのタイプに分けて紹介します。

褒めて励ます型

「以前より自主学習によく取り組むようになりました」「高学年になって自信が持てるようになったと思います」と、積極的に我が子のプラスの変化を認めるタイプ。最も理想的な教育スタイルです。

アメリカの心理学者、メアリー・エインスワースの言葉を借りれば、親というのは子どもにとっての安全基地であり、最も信頼できる存在です。心の拠り所である親から自分が認められ、褒めてもらえることは、子どもにとっては何より嬉しいことでしょう。

このような記述をする家庭の子どもは、自立心が育っていて何事にも意欲的であることが多いです。

指摘・叱責型

「もっと漢字を頑張りましょう」「家でも人の話をまったくききません」と、通信簿でC評価(がんばろう)がつけられたところを中心に、子どものできていないところをつつくタイプ。

保護者の心情からすれば、「もっと良い子に育ってほしい」という願いをこめて励ましているつもりなのだと思いますが、子どもからすれば、ただただできないことを責められているだけに過ぎず、「よし、がんばろう!」という気持ちになるのは難しいでしょう。

このような記述をする家庭の子どもは、概ね自己肯定感(「自分は大切な存在だ」「自分はかけがえのない存在だ」と思える心の状態)が低く、自分に自信を持てない子が多いです。ですから、当然物事に対する意欲も低いです。

それはそうですよね。「できない子」というレッテルを貼られているのに挑戦してみようなんて気持ちが起こるはずがありません。

無関心型

「2学期もよろしくお願いします」など、成績や学校での様子にまったく触れないことを書くタイプ。中には、何も書かず真っ白なまま返却する親御もいます。実はこのタイプが最も危険です。

なぜかというと、学校でのことに関して何も触れないということは、我が子の様子や教育にあまり関心を持っていない可能性があるからです。

もちろん仕事が忙しくて書く内容を考える暇がないことも考えられますが、一応夏休みや冬休みという長い期間があるですから、どこかで通知表をじっくり読んでお子さんの成長を見とる時間もあるはず。

人は人に嫌われるよりも、自分に対して無関心であることに最も心が傷つくと言われています。子どもは案外、親が自分をどれだけ大事に思ってくれているのかを、そういうところからも察知していたりしますよ。

親のスタイルから子どもへの接し方を考える

いかがでしたか。

親の教育スタイルをなぜ読み取る必要があるかといいますと、それによって子どもへの適切な接し方を見つけることができるからです。

例えば、指摘・叱責型の親の子どもであれば、家では自分を否定するようなことをよく言われていると考えられるので、学校ではその子の良いところ、頑張ったことを積極的に認めて褒めてあげましょう。自己肯定感が低い子は、「自分にも良いところがある」という実感を持たせることが大切です。

無関心型の親の子どもであれば、家庭での家族との会話も少ないかもしれません。ですから、学校では積極的に話しかけ、「あなたのことを見ているよ」というメッセージを伝えてあげると良いと思います。

なかなか顔を合わせて話す機会が少ない保護者ですが、子どものより良い成長のためには保護者の理解・連携が何より大切です。様々なものを手がかりにして保護者の人物像を掴み、子どもへの適切な指導に生かしていきたいですね。