なぜ、学級崩壊や不登校は運動会後によく起きるのか?

この記事では、運動会以降の学級経営のポイントについて述べています。

先日、運動会が行われました。

僕の住んでいる地域は、気候の関係で秋だと寒いから5月に運動会や体育祭をするところがほとんどですが、
最近は他の地域でも春に行う学校が増えているらしいですね。

今年は、10連休の打撃でまともな日数を確保することができず、
半日以上が運動会関係の練習なんて日もありました。

運動会の在り方を見直すべく、行事反省用紙に意見をバリバリ書いている最中です(笑)

さて、運動会が終わって、4・5月の行事ラッシュにもやっと一息つけるこの時期に、
よくある現象が起こります。

遅れを取り戻すべく、学習に力を入れていこうと意気込んでいたのに、
あれ、何だか学級がうまくいっていない…?

あれだけうまく行っていたのに…

実は、運動会や学芸会などのビックイベントの後というのは、
学級崩壊や不登校が起こりやすい傾向があります。

集団規律やリーダーシップといった力を育てる点で
このような学校行事は大切ですが、それ以上に大きなリスクを抱えているイベントだとも言えるでしょう。

そのような認識をもっているかいないかで、
3月までの学級経営が大きく左右されると行っても過言ではありません。

練習に集中し過ぎて気づかない兆候

学級崩壊から話していきましょう。

運動会後に学級が崩壊する原因に、
まず規律が乱れていることに気づかないことが挙げられます。

前述した通り、短い期間で仕上げるために、
半日以上運動会練習の時間で埋まった日もありました。

そんな日は、子どもの体力も大幅に削られているので、
練習時間以外すべてに基本4科目をねじ込むなんてことは非常に酷ですから、
活動量の多い実技科目や外国語などを入れていました。

そうすると、座学を基本とする教科の授業時数かなり少なくなりますよね。

チャイム前に次の教科の準備をする、指名されたら返事をするといった
規律を守る必要がある授業時間が減ることで、
決めたはずの規律を子どもも教員もいつの間にか忘れてしまうのです。

また、行事練習によくあるのが、「練習時間の延長」。

これを担任がしてしまえば、そりゃあ子どもたちの時間を守る意識が低下して、
チャイムが鳴った後に教室に入ってくるなんてことが起こるのは目に見えますよね。

授業だろうが行事練習だろうが、我々教員は、もっと時間に対してシビアであるべきです。

運動会が終わった後もこの事態に気づかずにいると、
せっかく4月に作ったきまりが機能せず、
「何でもあり」状態へ。学級崩壊へまっしぐらとなるわけです。

子どもは、5月まで前担任の「魔法」にかかっている

僕も初任の頃に勘違いしたのですが、

子どもたちは5月まで前担任の指導がまだ効いています。

出会い始めであることも伴って、4月はだいたいの子どもはお利口なのです。

初めの2ヶ月の学級経営がうまく行っているのは、
決して自分の指導がうまく行っているわけではないことを肝に銘じておくべきでしょう。

また、運動会の練習では自分以外の多くの先生の「目」があります。
それだけ多くの先生の目がある中で、問題を起こそうとする子はそうそういません。

驕らず、常に危険な兆候がないか高いアンテナを張りながら過ごすことが、
行事の時期における大きなポイントです。

ビッグイベントの弊害

なぜ、大きな行事の後は不登校になりやすいのでしょう。

よく挙げられるのは、指導の厳しさ生活習慣の乱れ

運動会や学芸会は、保護者や地域住民も観に来られることがほとんどですが、
そうなるとどうしても気になってしまうのが「見映え」です。

よく見られたいがために、
ダンスや組体操などの表現運動、入退場行進での指導に熱が入ります。

子どもから自発的に「もっとこうした方がいい!」という言葉が発せられ、
それに応じて練習していく分には構いませんが、

先生から「もっと手を上げろぉぉ!」「なんだその背中はぁ!」なんて
毎日怒鳴られていたら、そりゃ学校が嫌になりますよね。

指導が厳しすぎる点については、僕も反省すべきところです…

僕も運動が苦手だったのでよくわかりますが、
特に運動会なんて運動音痴の子にとってはまさに地獄なんですよ。

ただやるのだけでも地獄なのに、それに先生の怒号が加わったら、
その日々はもう「地獄以上の何か」でしかありません。

また、この練習期間というのはいわば「非日常」であり、
子どもの中には生活リズムが乱れてしまう子もいます。

食欲がない、眠れないといった身体の乱れが
心に影響してしまい、登校しぶりに繋がってしまうのです。

実際、不登校になる子どもは、生活習慣が乱れているケースが多いですし、
不登校になった後もその乱れはエスカレートしていきます。

気をつけるべきは、子どものサイン

だからといって怯える必要はありません。

リスクがあるなら、そのリスクを取り除く対策をすれば良いだけの話。

学級崩壊、不登校共に共通するのは、子どものサインを見逃さないこと。

整列にいつもより時間がかかる、教室にゴミが落ちるようになったなど、
子どもから発せられる直接的なサイン以外の小さなことにも気づけるアンテナを持つことが大切です。

また、行事明けの授業では、
机の上に出すものなどのルールの再確認を子どもたちと行うのも有効です。

修了・卒業までに残された時間はまだまだあり、修正の余地もあります。
焦らず、丁寧に子どもを見つめる気持ちをもちながら過ごせるといいですね。