ウィルス殺傷力はタミフルの100倍!新薬ゾフルーザについてまとめてみた。

首都圏を中心に、今シーズンもインフルエンザが猛威を奮っています。

自分の身体もそうですが、何よりお子さんがいるご家庭では、学級の友達からもらってしまわないか、または我が子が感染を広げてしまわないか心配されていることでしょう。

そんな中、昨年2018年に新たな抗インフルエンザウィルス薬が発売されたのをご存知ですか?

タミフル、10代でも使用可能に

まずは、皆さんご存知タミフルのお話から。

インフルエンザウィルスに対しての処方薬はタミフルやリレンザが有名ですが、タミフルは12歳の男の子が服用後にベランダから飛び降り右足のかかとを骨折するなど、異常行動との関連が疑われて10代への使用を原則禁止されていた時期がありました。

その後、タミフルによって異常行動が起きると結論づけられないとして、2018年5月に禁止解除の方針が打ち出されましたが、そうはいっても親としてはタミフルの使用はまだ怖いですよね。

新薬 "ゾフルーザ"

そこで今回新登場した新薬、その名もゾフルーザ

一般名はバロキサビル マルボキシルといって、ゾフルーザはシオノギ製薬から出ているバロキサビル マルボキシルの商品名です。由来は「XO(ノックアウト、〜がない)+ influenza = Xofluzaらしいですよ。

昨日のめざましテレビを何気なく見ていたら、インフルエンザ蔓延のニュースが流れていて、そこでこのゾフルーザが登場してきたのですが、説明を見ていて「こいつやべえ!」と語彙力の無さダダ漏れな感想を独り述べていました。

タミフルの約100倍のウィルス殺傷力

ゾフルーザは、従来の治療薬と効く仕組みが異なります。

タミフルやリレンザは細胞内で増殖したインフルエンザウィルスが細胞外へ出るのを防ぎます。細胞の外へ脱出できなくなったウィルスがそのまま細胞内で死滅することで、症状が改善されるという仕組みです。

一方、ゾフルーザは細胞内での増殖自体を押さえることで症状を改善させます。すでに増殖したウィルスの動きを止めるのではなく増えることを未然に防ぐので、その効力はとても強く、なんとタミフルの100倍

臨床試験においても、体内からインフルエンザウイルスが排出されるまでの時間はタミフルが72時間だったのに対し、ゾフルーザではまさかの24時間タミフルの1/3という好スコアを叩き出してしまいました。

仕事が忙しくてダウンしている暇がない社会人にはうってつけです(もちろん完治するまでは自宅療養ですよ!)。

1回の服用でOK

100倍パワーも魅力的ですが、それと同じくらいに素敵な魅力がゾフルーザにはあります。

タミフルやリレンザは、どちらも1日2回、5日間服用と、ただですら辛い体調でこの服用頻度はぶっちゃけ面倒です。

それに対して、ゾフルーザはなんとたった1回の服用でOK!これは体力も食欲もどん底まで落ちている身体にとっては大変ありがたい!

1回服用すれば終わりなので、薬の飲み忘れ防止にも繋がりますし、とても使い勝手が良いですね。

一方で問題点も…

高ポテンシャルを誇るゾフルーザ。実際に市場シェアも急速に拡大しているとのことです。

しかし、これだけの強い効き目があるとなると、気になってくるのが副作用などといった負の側面。強い光を放つところには必ず陰がつきものです。

耐性ウィルスが生まれやすい

高いウィルス殺傷力を持つゾフルーザですが、臨床試験ではかなり高い割合で「耐性変異」を起こしたウィルスが検出されたという報告があります。検出率は12歳以上で9.7%、12歳未満だとなんと23.4%

薬が効かないのも問題ですが、耐性ウィルスが周囲に拡大感染してしまうと問題はさらに深刻になります。

さらに耐性変異ウイルスが検出された患者では、ウイルスの感染力が高まるという結果も出ており、結果的に完治までの期間が長引いてしまうことも懸念されています。

夢のインフルエンザ薬「ゾフルーザ」薬が効きにくくなる耐性ウイルス発見

子どもには使いにくい

ゾフルーザは10mgと20mgの2種類の錠剤があり、10kg以上の体重があれば使用可能なので子どもにも使用することができます。

しかし、2019年1月現在では、ゾフルーザは錠剤タイプ一択となっています。顆粒タイプも承認されていますが、発売は2019年度以降になるようです。

錠剤タイプは子どもにとっては飲みにくく、大体の薬は主に粉末やシロップのタイプで処方されることが多いです。そう考えると錠剤しかない今は子どもに服用させることはなかなか難しいです。

新薬がゆえに未知数な副作用

ゾフルーザは昨年2018年から使われ始めた新薬。そのため、副作用に関するデータの蓄積が少ないです。

ゾフルーザの主な副作用としては下痢頭痛ALT増加AST増加、そして異常行動とされています。

異常行動との因果関係があるかは、タミフルと同様はっきりと断定されておらず、あくまで可能性の域を出ません。今のところゾフルーザによる転落などといったような報道はないので、そこまで心配することはないでしょう。

しかし、先に述べたとおり蓄積が少ないため、もしかしたらこの先、何か重大な副作用が起きる危険性もないわけではありません。

まとめ

いかがでしたか。

懸念はいくつかあるものの、薬は臨床実験を始めとして様々な検証によって安全性が確認できて初めて市場に出回るものですから、深刻に考えるほどでもないと思います。

僕は職業柄、休んでしまうと同僚に多大な迷惑をかけてしまうので、もしインフルにかかったらできるだけ早く復帰できるようにゾフルーザを服用するつもりです。

ただ、タミフルやリレンザといった従来の抗インフルエンザ薬も使えないわけでは全くありません。自分に合った薬を処方してもらうことが何よりも大切ですよ。