消えるボールペンを子どもに使わせない方がいい理由。

最近、様々なメーカーから開発・発売されている「消せるボールペン」。

基本的には一度書き間違えてしまったら消すことのできないボールペンの常識を覆した、文房具界における世紀の大発明といっても過言ではありません。僕も、変更を書き加えることが多い手帳にいつも挟んでいます。

日常使いでは大変便利なこの消せるボールペン、お店なんかで子どもも買っている姿をよく見かけます。書き間違えることが多い子どもたちにとっては、とても都合が良いのでしょう。

しかし、僕はあえて断言します。「子どもに消えるボールペンは使わせない方がいい」と。

学力が向上しにくい

一番の理由はこれです。

当たり前の話ですが、人間誰でも失敗できない1度きりのことに挑むときは、いつもより集中しようとしますよね。これはボールペンでも同じです。

「書き間違えたって、何度も書き直せるし」という緩んだ気持ちでは、集中力を高めることは難しいですし、それが日常化すると、肝心な場面でも容易にミスをしてしまいます。

僕は子どもの頃、ボールペンで何かを書くときは「失敗なんてできない!」と、鉛筆で薄く下書きを書いてからボールペンで上からなぞるようにしていました。特に、友達に送る年賀状など、修正液を使ったら失礼になってしまう、本当にチャンスが1度きりなものに書くときはとても緊張しましたね。

話が逸れてしまいましたが、集中力が高まらないということは、記憶の定着が鈍るということにも繋がります。これが学力にも影響してしまうことは、言うまでもないでしょう。

有名大学に進学した人は、「間違いは消さない方が良い」とよく口にします。自分の間違いの跡を残しておくことで、自分がどこでつまずきやすいのか、なぜその問題を間違えたのかがわかるからです。極端な話、消しゴムもなるべく使わない方が良いのです。

常識が身につかない

消せるボールペンは、温度によってインクの色が変化する仕組みとなっています。だからペンのラバー部分でこすったときの摩擦熱によって消すことができるのですね。

しかし、これは摩擦熱に限ったことではなく、高温下の環境に置かれてしまえば、消せるボールペンのインクはどこでだって消えてしまうのです。自分の意図しないところで、いつの間にか字が消えていた…なんてことにもなりかねません。

消せるボールペンはこのような特性を持っているので、メーカーは「公的な書類には使用しないでください」と注意を呼びかけています。やろうと思えば書き換えによる偽造だってできますからね。

大人ならそんなの当たり前でしょうと思うかもしれませんが、子ども目線で見ると話は違くなります。何が公的で何が私的なのか、その境界線は子どもにとってはまだよくわからないものだからです。

僕の知り合いの中学校の先生が「高校受験の願書をフリクションで書いてきた奴がいた…」と嘆いていたことがあります。お子さんに使わせるなら、せめて用途をきちんと伝えてから使わせることをお勧めします。

結果としてノートが汚くなる

これは小学生に多いです。

消せるボールペンのラバーで書いた字を消したら、このようになったことありませんか?

これは、ラバー部分に付着した鉛筆やシャープペンシルの黒鉛がノートに引きずられてしまって起こります。そう、ラバー部分で消すためには、ラバーを常に綺麗な状態に保っておく必要があります。

しかし、筆入れの中に鉛筆やシャープペンシルと同じ場所に入れておけばラバーはみるみるうちに汚くなってしまいます。そうやって汚くなったラバー部分でこすると、かえってノートがどんどん汚くなっていくんですよね。「消せるボールペン」の利点が何一つ生かせません。

おすすめは「キャップ式ボールペン」

「じゃあ、何のボールペンが良いの?」と思われた方もいらっしゃると思います。消せないボールペンであることを前提として、僕のおすすめはキャップ式ボールペンです。

なぜノック式ではないのかというと、子どもはあの「カチカチ」というギミックが好きで、無意味にノックをしまくることがあります。消せるボールペンで述べた通り、その「カチカチ」という音が集中を妨げるからです。

ノック式と比べて、キャップ式は種類が少ないですが、ユニボールペンシグノシリーズパイロットハイテックCシリーズなど、書き心地が良くカラーバリエーションも豊富なボールペンもあります。

お子さんのためにも、一度使わせている文房具を吟味してみてはいかがでしょうか。